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2006年06月30日(金)更新

知人のこと

藤原さんのことをまだ書ききれていないような気がする。
彼と会い話をするとき、いつも私の心の中にイメージするのは、透明感のようなものだった。 地平線に拡がっていくような、それでいて厳しさを備えたある種の透明感。

彼が生前、私に1冊の本を紹介してくれたことがある。
「「治るがん」と「治らないがん」」(近藤 誠著)

その本によると癌には治る癌と治らない癌があるという。
もし治らない場合はどうするのか?
どのような生き方があるのか。

正直なところ、癌を宣告された彼を思いながら、その本を読むことは私には非常に重かった。 だから完読は未だできていない。

でも彼は化学治療を受けながら、一人でその本を読み、何かを乗り切っていかれたのだろう。 何か、というのは今の私には言葉にできない。 
苦しさや困難、という言葉を使おうかと思ったが、そういう言葉では言い表わすことができない。
だから、何か、としか書き様がない。

私が会う度に心の中でイメージするある種の透明感は、そういうところから出てきているのだと思う。

自分はそこまで死と向き合って生きたことがあるだろうか?
日々何気なしに送る自分を考えるとき、そのことを思う。

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