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2008年06月25日(水)更新

「御社の最適規模」はどれくらいですか ~制約理論の観点から~

<質問>
御社の最適規模(従業員数、売上高などで測るとして)は、どの程度のものとお考えでしょうか。
その理由についてもお聞かせください。
(明治大学商学部教授 村田潔さん)





制約理論(TOC)では組織はひとつのシステムと考えています。
システムである以上、インップトを行うこと(例えば製造業であれば原材料投入など)でアウトプット(製品など)が生じます。 また通常アウトプットはインプットよりも大きくなります。

最近の制約理論では制約を「システムの目標レベルを決定づける要素」と定義付けしています。


従って自社の最適規模を決めるには、「制約がどこにあるか」によって決まってきます。

例えばそれがプロセス内(社内)の工程に制約があるのであれば、その工程以上のものアウトプットを生み出すことはできません。
その場合は自社の最適規模は、制約箇所の生産能力となります。

また逆に自社内に制約がなく、外部に制約があるのであれば(例えば市場)市場規模に基づいて自社の最適規模を決めていくことになるでしょう。



売上高や従業員数は自社の制約に基づいた最適規模により決まるでしょう。

弊社の具体的な目標をここでお話することはできませんが、弊社の場合は非常にニッチですので、制約が内部にあるにしろ外部にあるにしろ規模的には中小企業の域を出ることはないかと思っています。




また余談ですが、制約理論では、制約を活用し目標レベルを達成する方法として以下の5ステップを用います。


ステップ1.システムの制約を識別する。

ステップ2.システムの制約を徹底活用する方法を決める

ステップ3.上記の決定に他のすべてを従属させる

ステップ4.システムの制約の能力を高める

ステップ5.もしも前のステップで制約が解消されたならステップ1に戻る。
       ただし惰性が次の制約を引き起こさないように注意する


5ステップをステップ1から順に用いることで制約を活用し、最大の効果を得られるようにします。

 
ただし、ここで注意しないといけないのは、例えば自社の生産能力が2億円しかないのに、いきなり設備投資を行って、いっきに生産能力を上げる(ステップ3から始める)、ということです。

この場合、システム内の制約が2番目に低い生産能力の部分に移りますから、そこがどこかわかっていないと、かえってシステムの不安定さがまし、システムをコントロールできなくなる危険性が生じます。


5ステップを利用しながら、自社の最適規模を決め、具体的な目標に落とし込むのは有効な方法だと私は思っています。