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2006年05月18日(木)更新

明治大学商学部3年 島田純さんからの質問

<質問>
不幸にも事業を行っていく上で従業員を解雇せざるを得ないと判断する場合、どういった基準があるのでしょうか」   (明治大学商学部3年 島田純さんより)


このご質問は業績が悪化して、退職勧告をしないといけないまでになったとき、どういう基準でそれを行うのか、といった意味でしょうか?

おそらく皆さんは労務管理の本も読んでおられると思うので、解雇するまでに踏まなければいけない手順はご存知のことだと思います。

もし弊社がそこまでの状態で他に手がないのであれば、弊社のような小さな規模の場合、取引先や社員に債務を支払える内に廃業を視野にいれるべきだと考えています。
もちろんそうならないよう経営者は努力すべきです。

ご質問が日常の事業を営んでいる場合のことであれば、そういう基準はありません。


どこかで読んだのですが、こんなことを書いてあったのを覚えています。
「人を90%解雇しないと思うのと100%解雇しないと思うのでは違う。」

100%解雇しないとなると、人を新しく雇うとき、どういう人であれば良いか、そのことを真剣に検討します。 もちろん最初から解雇することを前提で雇う人はいないでしょう。 ですが100%解雇しないとなると、どういう人が会社に必要か、真剣に考えます。

マネージャークラスの人でこちらから辞めてもらったことがありました。 入っていただいたときに「こういうことは必ずしてください」、とお互いが確認していたのに、どうしても出来なかったからです。 
何度もチャンスは与えましたが、本人の能力からは無理でした。 お客さんへの対応が明らかにまずい、ということもありました。

このままでは会社の業績に影響しかねなかったので、本人と話し合い退職していただきました。
このケースは採用時の完全な判断ミスだと思っています。 本人にとっても悪いことをしたと今でも後悔しています。


流れを整理できないまま、思いつくままに別なことを書きます。

サラリーマンをしていたころ、女性が多い職場で、女性職員同士の確執がありました。 社内の雰囲気は悪く、そのうち社員の持ち物の盗難騒ぎまで起き、毎日出社するのが嫌になるくらいでした。 誰もが何とかしたいと思っても、無力感とやるせなさだけが漂っていました。

小さな会社の場合、職場の雰囲気を悪化させたり、和を崩して人間関係を悪化させる人、言うべき場が提供されているのに、ひたすら陰で不平不満や悪口を言う人がいると、会社の業績が悪化することがあります。 

お互いが違う意見を述べ合って、それが異なる見解でも、会社の向かう方向を理解して、すべき仕事に向いてくれていれば良いのですが、お互い口も利かない、挨拶もしない、サボタージュをする、そのあたりまでくると手が付けられません。

その場合は「すべき仕事」「達成すべき目標」に焦点を当てて、協力してお互い仕事が出来るかどうか、ということを話合うことになります。

とことん話し合って、それでも仕事や会社の目標に焦点を当て続けられるかどうか、最終的にはそれは本人次第だと思います。 
私は口が悪い方なので、時に社員に厳しい言葉を浴びせることがありますが、でもどうか乗り越えていって欲しい、そう思っています。


<補足質問>
将来を嘱望している従業員が退職を申し出たとき、どんな行動をされますか。


100%解雇しないということは、入った人をどう育てるのか、につながります。

会社にはマネジメントは苦手だけど、実務は得意という人もいれば、パソコンはどうしてもダメという超ベテランもいます。 その人に合せてどう仕事をしてもらうのか、もっと結果を出してもらうにはどうすれば良いのか、そのことを考えていくことになります。

弊社は目標管理制度を取り入れていますが、目標設定を行うとき大事なのはあくまで「その人の今いる位置から目標を見る」、ということだと思います。 出来もしない目標を押し付けても人は育たないでしょう。
そして目標についての日々の話し合い、前を向いて仕事をしていくこと、こういうことが上司と部下との間で出来ることが大事だと思います。

時には優秀な人は会社からスピンアウトするでしょう。 そういう場合、私は応援したいと思っています。

いつも社員に言っていることがあります。
「この会社がいつもでもあると思うな。 万が一ここが潰れても、どこにでもいける力をつけなさい」と。

みなさんへの答えになったでしょうか?

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